DTMはデスクトップミュージックの略で、簡単に言うと、パソコンで作る音楽のことを示します。
パソコンで音楽を作るとは言っても、実際の楽器の演奏を録音したり、その録音したものを編集したりすることも含まれます。
世の中のほとんどの曲が、少なくとも録音するという意味において、DTMを使っていると言っても過言ではありません。
最近の曲などは、パソコン上のソフトを起動させて、シンセサイザーなどを入れることもよくありますし、高くて手に入らないような楽器をサンプリングした音源を使うことにより、その楽器を弾いているかのような感じを出すことができます。
なので、DTMの技術により、どんなことでもできるか? と勘違いする人もいますが、実際に携わっている人であればあるほど、できることに限界があることを理解しています。
よく、私はこのたとえを用いるのですが、今の現状の技術で、「北島三郎の演歌をDTMで表現することはできません」
小林幸子の声をサンプリングして作られたボーカロイドが出たことで話題にもなりましたが、サンプリングして作って、それに音程を歌わせても、誰が聴いても、比べれば、どちらが本人であるのかは、一目瞭然なのであります。
上の「一目瞭然」は正確には正しい言葉の当て方ではありませんね。目で見るのではなく、耳で聴いていることになりますから。
歌声が一番、パソコンで精度が出しにくいものだと思います。
ピアノ | ベロシティ、タイミング |
バイオリン | ベロシティ、タイミング、音程、(音色) |
歌声 | ベロシティ、タイミング、音程、音色 |
上の表を見て、これが何を意味しているのか分かった人は、DTM通だと思います。
ピアノという楽器は、ドの音を叩けば、必ずドの音が鳴ります。ですので、ピアニストの技量としては、どの鍵盤をどのタイミングで、どの強さで叩くかで表現できます。
なお、上の表のベロシティとは、それぞれの一つの音符に対してどの強さで弾くかを示しています。
ピアノは弾く強さによって、音色は変化しますので、単にそれぞれの音をボリューム調整したらいいというわけではありません。
その点で、ベロシティとボリュームは違う意味になります。
バイオリンという楽器の特性として、ギターのようにフレットがないことがあげられます。
そのため、人により同じドの音を鳴らしても、押さえるところが本の0.1ミリ変わったことで音が微妙に変わったりします。
その人により音が微妙に変わるということが、大勢で演奏したときに、広がりのある音につながっています。
音程の微妙な違いが表現できるという点においてバイオリンは、ピアノより難しいと私は思います。
また、音色についても、伸ばすように弾いたり、スタッカートのように短く弾いたり、ピチカートのように弦をはじいたりすることにより、変わります。
音色も調整できるところがすごいですね。
歌声はさらに凄いことになっています。音の強さ、タイミング、音程の他に、こぶしを入れたり、裏声を入れたり、抑揚を入れたりと、様々な表現力で歌を歌わせることができます。
その意味において、歌声が一番、パソコンでの再現が難しいと言われています。
まあでも、DTMを実際にしている人にとっても、DTMが万能であることが、嬉しいことではなく、DTMでできないこともある方がいいと思う人もいます。
とは言え、10年前にできなかったことが、今できるようになったりもしていますから、人の歌声を正確に再現できる時代になる可能性も否定できません。
以上、今回はDTMが万能であるわけではない、というブログを書かせてもらいました。