今回は、音像定位について解説します。
DTM初心者の方は初めて聞く言葉だと思いますが、ある程度熟練の方でも普段、この言葉はあまり使いません。
スピーカーが2つ並んでいて、左右違う音が鳴っています。そのことをステレオと呼びます。
左右同じ音が鳴っている場合は、モノラルと呼びます。
私は中学生の頃、大きなスピーカーのステレオセットを買ってもらいましたが、初めの頃は、左右違う音が鳴っているという事実に気づきませんでした。
アンプのところに、モノラルとステレオを切り替えるスイッチがあり、それをいじったときに、レコードの音が真ん中に聴こえるのと左右に広がって聴こえる違いが分かりました。
ラジカセなどだと、近くに寄らないと左右違うという事実が確認できませんね。
スマホなどの本体のスピーカーで聴く場合は、基本モノラルだと思います。ステレオで鳴らせることもできるかもしれませんが。
なお、このステレオのスピーカーですが、左右のスピーカーで、全く同じ音を同じ音量で鳴らすと、真ん中で鳴っているように、人間の脳は把握します。
上の音は、ボーカル、ドラム、ベースギター、エレキギター、ピアノ、オルガン、ストリングス、ブラスの音を真ん中の配置で鳴らしたものです。
左右のスピーカーで同じ音量で鳴らした場合真ん中に聴こえますが、左側から鳴っていると、左側で音が鳴っているように感じ、右側から鳴っていると右側から鳴っているように感じます。
左側7に対して右側3とかですと、真ん中より左側に寄ったように聞こえます。左右の音量のブレンドの仕方で、楽器がどの場所で鳴っているのかが、人間の脳に把握されます。
一番最初の図のように、左右にそれぞれの楽器をバランスよく配置させてみたのが、上の音になります。
左右のバランスですので、ヘッドホンや、ステレオのスピーカーなど左右の違いが分かる状態でなければ違いは分かりません。
同じ場所から全ての音が聞こえているのに対し、左右に広がって、それぞれの音が聞き取りやすくなったのではないでしょうか?
音像定位では、左右の配置の他に、奥行きについても、考える必要があります。
その楽器が近くで鳴っているのか、遠くで鳴っているのかです。
近い音は音量が大きくなりますので、音量でも遠近感は出るのですが、音量の他に、リバーブも遠近感と関わります。
ブラスとストリングスにリバーブをかけてみます。
最初のと比べて聴いてみてください。ブラスとストリングスの音が遠くの方に引っ込んだ感じがしないでしょうか?
残響音が多いと、人間は無意識のうちに、それが遠くの方で鳴っているかのように把握します。
耳元で鳴っていれば、直接音が耳に入るので残響音がなく聞こえます。
また、左右に極端に寄せた音は、近くに聴こえます。
左の耳でささやかれたら、右側の耳ではほとんどその音は聞こえません。
それが同じ左の方向でも左の10m先で話した声だと、反響することで右の耳でもある程度聞き取っていることになります。
ですので、中心から左右に配置を離すほど近くに聴こえます。
曲をミックスさせる場合、左右のバランス、遠近的なバランス、そしてもう一つ、高い音と低い音のバランス、それらにより、音に立体感が出ます。
次回は、さらに踏み込んで、ミックスのテクニックについて解説します。